シナリオ PART4

9 谷町筋

辰巳和仁男先代社長と妻樹里と息子大蛇現社長と妻妙子と孫裕一郎が、朴一根タクシーに乗り込んで来る。

一根、車から降りて、ドアサービスする。

車回り一周して運転席に戻る。

一根「社長、ありがとうございます」

辰巳樹里奥様「ご苦労様、自宅お願いね」

一根「はい」

辰巳和仁男先代社長「 知ってる?」

一根「はい、 芦屋でございますね」

先代社長「苦楽園。高速で」

一根「高速でございますね」

先代社長「ナビ入れて」

一根「高速でございますので、できましたらシートベルトの方、よろしくお願いします」

先代社長「そうか」

大蛇息子社長「俺は、閉めてる。お母さん、ここ」

先代社長「どうや。忙しい?」

一根「はい。忙しいです。暇なしで」

先代社長「それは、結構なことやな。忙しい言うてるやないか」

息子社長「何で?コロナで忙しいわけないやろう」

高速道路ETCへ慎重ゆっくり安全に入って行く。

先代社長「コロナ言うても、やる気や。気持ちで勝たな」

一根「はい」

樹里奥様「お父さん」

息子社長「もういい」

先代社長「妙子さん、これからどうするの?」

助手席で、眠っている裕一郎を抱く妙子。

妙子「はい」

樹里奥様「やめて」

先代社長「何も言ってないじゃないか。任せている。何も言わない。口出し無用。わかっている。ITだろう」

樹里奥様「お父さん。ごめんなさいね。ワンマンだから」

一根「はい」

先代社長「何言ってるんだ」

大声になる。

息子社長「降りようかなあ」

樹里奥様「降りるの?高速道路で降りる所あるのかしら?」

息子社長「あるわけない」

一根「あります」

樹里奥様「どこ?」

一根「芦屋出口」

樹里奥様「何言ってるの?」

先代社長「こりやんいいや」

一根「えっ」

樹里奥様「あなた」

先代社長「ワッハッハッハ」

息子社長「フッフッフ」

樹里奥様「冗談よ。ホッホッホ」

皆、大笑い。

裕一郎「何、おかしいの?」