シナリオ PART5

11 タクシー会社事務所内

夜。パトカーと救急車。

レッカー車に引っくり返って大破したタクシー。

鬼平十郎部長が、事務所内で怒鳴る。

鬼平部長「会社つぶす気か」

警察官。事故起こした運転手。救急隊員。納金する運転手たち。

運転手(N)「人の命より車心配している」

鬼平部長「当たり前や。百遍言うてもわからんやっちゃなあ。口中、手突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたろうか。

脳みそ、ストローで吸うてほしんか。どっちや、言え」

朴一根、仕事終えて、納金に事務所入って来る。

一根「そんなの言えるか」

鬼平部長「誰がしたんや。誰や。どこのどいつや。誰が言うてるんや。おまえか。ドライブレコーダー写ってるんやぞ。真っ直ぐ顔見ろ。人が話している時は、目を見るんや。」

鬼平部長、事故起こしの門月運転手の顔に、自分の顔を寄せる。

鬼平部長「目を見ろ」

門月運転手、目の前の鬼平部長に頭上げる。

鬼平部長「謝れ」

門月運転手「すいません」

鬼平部長「誰が謝れ言うた?」

門月運転手「すいません」

警察官「帰ります」

大場係長「ご苦労様でした」

大場係長と小西主任が、外に出てて見送り一礼する。

鬼平部長「誰が謝れ言うた?」

門月運転手「部長」

鬼平部長「この野郎」

鬼平部長、事務所奥まで走って、木刀取りに行く。

鬼平部長、木刀持って、ストレス発散床を叩く。

ドンドンドンドンドンドン。

事務所から、皆退散する。

現金両替機の音。

鬼平部長と朴一根だけになる。

鬼平部長が、事務所内自動販売機で、缶コーヒー購入。

その横で、朴一根が、現金両替機で、100円玉を10円玉に替える。

小銭箱、一杯10円玉にする。

もう一つ小銭箱、一杯100円玉にする。

もう一つ小銭箱、一杯500円玉にする。

鬼平部長が、右手に缶コーヒー、左手に木刀を持って見ている。

朴一根、小銭箱3箱、重そうに持つ。

鬼平部長「何してるんだ?」

朴一根、笑うだけ。一礼する。