11 タクシー会社事務所内
夜。パトカーと救急車。
レッカー車に引っくり返って大破したタクシー。
鬼平十郎部長が、事務所内で怒鳴る。
鬼平部長「会社つぶす気か」
警察官。事故起こした運転手。救急隊員。納金する運転手たち。
運転手(N)「人の命より車心配している」
鬼平部長「当たり前や。百遍言うてもわからんやっちゃなあ。口中、手突っ込んで、奥歯ガタガタ言わしたろうか。
脳みそ、ストローで吸うてほしんか。どっちや、言え」
朴一根、仕事終えて、納金に事務所入って来る。
一根「そんなの言えるか」
鬼平部長「誰がしたんや。誰や。どこのどいつや。誰が言うてるんや。おまえか。ドライブレコーダー写ってるんやぞ。真っ直ぐ顔見ろ。人が話している時は、目を見るんや。」
鬼平部長、事故起こしの門月運転手の顔に、自分の顔を寄せる。
鬼平部長「目を見ろ」
門月運転手、目の前の鬼平部長に頭上げる。
鬼平部長「謝れ」
門月運転手「すいません」
鬼平部長「誰が謝れ言うた?」
門月運転手「すいません」
警察官「帰ります」
大場係長「ご苦労様でした」
大場係長と小西主任が、外に出てて見送り一礼する。
鬼平部長「誰が謝れ言うた?」
門月運転手「部長」
鬼平部長「この野郎」
鬼平部長、事務所奥まで走って、木刀取りに行く。
鬼平部長、木刀持って、ストレス発散床を叩く。
ドンドンドンドンドンドン。
事務所から、皆退散する。
現金両替機の音。
その横で、朴一根が、現金両替機で、100円玉を10円玉に替える。
小銭箱、一杯10円玉にする。
もう一つ小銭箱、一杯100円玉にする。
もう一つ小銭箱、一杯500円玉にする。
鬼平部長が、右手に缶コーヒー、左手に木刀を持って見ている。
朴一根、小銭箱3箱、重そうに持つ。
鬼平部長「何してるんだ?」
朴一根、笑うだけ。一礼する。