3-1 ヒロイン登場?

3-1 ヒロイン登場?

建築会社担当者A が、解体前の家に来ます。

家には、95歳おばあさんがいます。

築58年。

建った時から住んでいます。

まいったなあ。

愛着ありますか?

全然ないです。

古畳の匂い。

木造の匂い。

壁の匂い。

愛とは、新築です。

30過ぎの息子が、ここで、

おばあさんと同居しています。

一人で牛丼屋に行けない男です。

身長181センチ。

新築にすれば、結婚できるかなあ。

君の結婚?

再婚したいわけ?

年金生活者65歳。新築で再婚。

99%ございません。

入歯で話になりません。

心筋梗塞狭心症末端血流欠乏症

食道逆流症胃潰瘍尿道結石直腸ポリープ。

生きているのが不思議です。

目の前に、おばあさんと息子。

炊事洗濯掃除買い物料理ゴミ出し物干し。

おばあさんの穴の空いたパンツを干します。

半年一年楽しくこなしていきます。

タクシー運転手定年です。

体は正直です。

あちらこちらから悲鳴が聞こえます。

ぎっくり腰です。

寝ている時に飛び起きます。

旅行もせず、平凡な男です。

望むは、

建築会社担当者Aが、ヒロインだったら。

あるわけございません。

担当者Aは、父の仏壇に手を合わせました。

第一にしたことは、祖先への敬いでした。

本心なのだろうか?

形式で手を合わせたのでしょうか?

刑事ドラマを真似たのでしょうか?

クレイマーおじさんの勘繰り。

担当者Aは、仏壇から離れ際に一言おばあさんに話しかけました。

担当者A「いい家建ちますよ」

おばあさん「よろしくお願いします」

素直に受け取ろう。

しかし、

その甘さが、後々ひどいストレスと変わります。

、後々

第一日目

担当者Aは、封筒を一つ置いて帰りました。

こちらが、伝えたことは、一階西方角に勝手口のある出っ張り部屋を作って、

そこに流し台を付けるだけです。

名刺拝見すると、宅地建物主任者と書かれています。

一流大学卒業で、全部任せろ作ってやるからじいさん黙っていろ。

「あんたの金で建てるんじゃない」

何もかもお見通しで、

こちらも素直に任せるしかありません。

私は帰る担当者担当者Aに栄養ドリンク渡しました。

誰もいなくなって、おばあさんが、言いました。

「塩持っといで。塩撒いとき。なかったら買っといで。

けったくそわる。こっちが、客や。全部ふんだくるつもりや。

そうは行くか」

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