用心棒 あらすじ

用心棒 あらすじ

からっ風が吹きすさぶ中、一人の風来坊の浪人が、桑畑に囲まれた宿場町へとやってくる。そこは賭場の元締めである馬目の清兵衛と、清兵衛の部下だったが跡目相続に不服を持って独立した丑寅一家の抗争によって廃れていた。2人はそれぞれ町の有力者である名主多左衛門と造酒屋徳右衛門を後見人にし、泥沼化した抗争は終わる気配がなく、町の産業である絹の取引きも中断したままであった。ふらりと立ち寄った居酒屋の権爺からあらましを聞いた浪人は、代金の代わりに宿場町を平穏にしてやるという。

浪人は丑寅の子分を挑発して3人ほど瞬時に斬り倒す。これにより、浪人は清兵衛一家に50両で用心棒として雇われる。その祝いの酒の席で清兵衛に名前を尋ねられ、浪人は窓の外の桑畑を眺め、桑畑三十郎と名乗る。凄腕の浪人を手に入れた清兵衛は、一気に決着を付けるとして総力を挙げて討ち入りをしようとするが、清兵衛は女房のおりんと抗争が終わったら三十郎を始末する算段をしていたことがバレており、三十郎は土壇場で報酬を突き返して離脱してしまう。三十郎の真の狙いは、互いの総力を挙げた抗争を仕掛けて共倒れさせることであり、その企てはまさに成功する寸前となったが、そこに八州廻りが来るとの一報が届いて抗争は中止になってしまう。

役人が滞在して平穏を装った休戦状態の中、三十郎の予想通り、清兵衛と丑寅は互いに大金を積んで三十郎を雇おうとする。10日後、隣の宿場町で町役人が殺された報が届いたために八州廻りは去る。しかし、再開するかと思われた抗争はそのまま沈静化してしまう。実は、丑寅の腹心の弟である切れ者の卯之助が帰参し、仲介となって手打ちの算段を始めたのであった。またもや計画が狂う三十郎であったが、町役人殺しは、早く八州廻りを町から出したい丑寅が仕組んだことだと知り、その下手人を捕まえて清兵衛に売りつける。一転して有利となった清兵衛は手打ちを破談にするも、今度は卯之助がその下手人を始末した上で、清兵衛の息子である与一郎を捕まえ立場が逆転する。しかし、清兵衛側は、徳右衛門の情婦おぬいを人質にしており、清兵衛と丑寅は人質交換する約定を取り交わす。

結果として人質交換は無事に終わるものの、その際、三十郎はおぬいが、しがない農夫小平の妻で、幼い子を残し、夫の借金のカタに徳右衛門と丑寅によって奪われたのだと知る。三十郎は丑寅の用心棒となって彼らを油断させた後、おぬいが囚われた一軒家をひそかに急襲、見張りを皆殺しにして彼女を助け出し、小平に町から去るように告げる。おぬいを逃がしたのが清兵衛一家の仕業と考え憤慨する丑寅一家は、遂に一線を越えて多左衛門の屋敷に火をつけ、それを受けて清兵衛も徳右衛門の酒蔵を襲う。抗争は激化し、町は至るところに死体が転がる惨状となる。一方、気の利かない小平はわざわざ町に戻って来て、三十郎への礼の手紙を権爺に託していた。町をいたずらに混乱させるとして三十郎に怒っていた権爺は、事情を知って彼に好意的となっていたが、他方で卯之助が真相に気づくきっかけとなってしまう。手紙が証拠となって三十郎は丑寅一家に監禁されてしまい、おぬいの居場所を吐かせるため激しい拷問を受ける。

見張りの隙を付いて逃げ出すことに成功した三十郎は、命からがら権爺の店に逃げ込み匿われる。権爺の嘘で三十郎が清兵衛に匿われていると思った丑寅一家は、ついに清兵衛の家に火を放ち、燻り出された清兵衛一家を皆殺しにする。気息奄々だった三十郎は権爺に助けられて町外れのお堂で静養していたが、棺桶屋から、権爺が握り飯と傷薬を運んでいるところを丑寅一家に捕まったと知らされる。三十郎は、権爺が護身用にとくれた包丁と棺桶屋が用意した刀を持ち、権爺を助けるため再び町へ戻る。

白昼の町辻で三十郎と丑寅一家が対峙する。短銃を構え有利な卯之助に対し、三十郎は彼の腕に包丁を投げつけて銃を封じ、瞬く間に丑寅一家を斬り倒してしまう。助け出した権爺の縄を斬ると三十郎は「あばよ」と声をかけ、平穏を取り戻した町を去ってゆく。