1000万円台

映画空間ツッコミシナリオ「1000万円台の3階建て二世帯新築注文住宅が建つ」

1 刑務所 昼

青空の下。

多くの受刑者が、歩いている。

2 刑務所広場 昼

受刑者たちが、整列している。

刑務官「番号」

「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20」

3 刑務所広場 昼

受刑者たちが、ラジオ体操している。

4 刑務所トイレ 昼

ドーン。トイレが揺れる。

受刑者A「なんや?」

受刑者B「隣で高級マンション建てている」

受刑者A「億ションか?」

受刑者C「上から監視や」

5 刑務所食堂 昼

受刑者A「帰るらしいな」

受刑者B「だれ?」

受刑者A「あいつや」

受刑者C「帰る家がある奴はいいなあ」

松本清、食事している。

6 刑務所作業場 昼

松本、3階建て建築木工ミニチュアを、作っている。

7 刑務所寝所 夜

暗闇。

松本、寝ながら、天井見ている。

8 刑務所作業場 昼

松本、3階建て建築木工ミニチュアを、右手でつかみ叩きつぶす。

9 メタバース(仮想空間)内 刑務所広場 昼

風水受刑者が、地面に絵を書きながら、松本に話す。

風水受刑者「こっちが、北。南。東。西。普通の家は、正方形か長方形や。

どうして、貧乏人ばっかしか。それは、正方形や長方形の家に住んでいるからや。

アパートでも、正方形か長方形や。

住宅ローンで、一生終わりや。

公務員でも一流企業でも一緒。芸能人でも、

家一軒残ったらええとこや。それだけ、税金が厳しいんや。

家三代で相続税払えない。

働いてもいっしょや。そしたら、どうしたええねん。

これ見てみ。正方形長方形を足してやったらええねん。

西に黄色って言われるやろ。

もっと確実にするために、西に小さな出っ張り部屋を作ってやったらええねん。

ここに勝手口。

人間の鼻や。 団子鼻や。家に団子鼻の部屋を付けたらええねん。

そしたら、一生金に困らない」

突然、受刑者Dの靴が、風水受刑者の出っ張り部屋の地面図形を消す。

受刑者D「だれが信じるか?嘘ばっかしか言うな。ペッペッペテン。。そんなんで、金持ちなったら、

刑務所いるか。 なんでおまえここに入ってるねん。コッコッコッペパンにしてしまうぞ。

フッフッフンダリケッタリや」

受刑者Eも一緒に地面図形を足で消して飛び跳ね踏んづける。

10 刑務所 広場 昼

受刑者Fたちが、松本に顔を近づける。

受刑者F「銀行強盗が一番や」

受刑者E「出所か」

受刑者D「一緒にやろう」

受刑者F「新宿で会おう」

受刑者E「トー横」

受刑者D「待ってるからな」

11 メタバース

新築3階建てが、沈んでいく。

消える。

12 刑務所 玄関門 朝 晴れ

玄関門開く。

太陽を背に、松本出所する。

刑務官「お迎えなし」

13 バス停留所前 昼 晴れ

畑横のバス停。

バスが、来て、学生、女子学生、老婦人が、乗り込む。

横を歩いていた松本は、バスに乗らない。

14 道路

バスが、歩いている松本を追い越して行く。

15 スカイツリー展望台 昼 晴れ

松本が、東京の空を見る。

メタバース(仮想空間)に変わる東京の空。

16 渋谷ハチ公前 昼 晴れ

松本が、ハチ公前交差点を渡る。

メタバース内のハチ公前交差点を、松本が渡る。

17 新宿トー横前 夜

松本が、歩く。

メタバース内のトー横を、松本歩く。

18 タクシー内 夜

松本が、後部座席に座っている。

タクシーの後ろの景色が、メタバースに変わって行く。

19 多摩川大橋 夜

松本、橋の上から夜の川を見ている。

メタバース内の多摩川が、彩られて変わって行く。

20 松本竜子の家の前 深夜

松本竜子の家。

松本の指が、壁のインターホンを押す。

「ピンポーン」

家の前のスナックの扉が開いて、女の声。

スナック女A「ありがとうございました」

スナック女B「ありがとうねえ」

松本、インターホンを押す。

「ピンポーン」

スナック女C「ありがとうございました」

家の前が、スナック客5人とスナック女5人で、ごった返す。

スナック女D「わすれもの。わすれもの。わすれもの」

スナック女E「またねえ」

松本、インターホンを押す。

「ピンポーン」

反応なし。スナック女たちの笑い声。

スナック女A「ありがとうございました」

女たち、客に手を振っている。

客去り、女たちもスナック店に入ってドア閉める。

松本、インターホンを押す。

「ピンポーン」

松本、ドアの把手を引こうとする。

家の中から、ドア開く。

「だれ?」

95歳の松本竜子が、眠そうにしながら開ける。

竜子「遅いなあ」

松本、家の中に入る。

竜子「お帰りなさい。疲れたやろ」

松本が、家の中に入ろうとすると、

スナック女A「こんばんわ」

松本、首だけ振り向く。

スナック女A「いつもご迷惑かけていますので、

どうぞ」

スナック女Aが、赤ワイン1本差し出す。

松本「えっ!なんだって?」

松本、愛想なく赤ワインを受けとって頭下げる。

家に入ってドア閉め鍵かける。

21 スナック店内 深夜

スナック女A「えっ!なんだって?ワイン出したんや。

いつもお世話になってます言うて。

そしたら、えっ!なんだって?

だって。それだけ。

それはないやろう。

どうもありがとうとか、

これからもよろしくとか、

愛想ある言葉あるやろう。

えっ!なんだって?だけ。

そのまま、家入って行った」

スナック女B「いつ?」

スナック女A「今」

スナック女C「どこで?」

スナック女A「前で」

スナック女D「だれが?」

スナック女A「前のおっちゃん」

スナック女E「息子とおばあさんだけやろ」

スナック女F「帰って来た」

スナック女A「どっから?」

スナック女B「刑務所」

スナック女A「えええ、こわ」

スナック女C「なにした?」

スナック女D「スリ」

スナック女E「泥棒」

スナック女F「銀行強盗」

スナック女G「人殺し」

スナック女A「何人殺した?」

スナック女B「3人」

スナック女A「そのうち、ばあさん息子も殺しよるぞ」

スナック女全員で、

「おうこわ」

(WIPE)

22 松本竜子の家の風呂場 深夜

裸の清が、湯船に入って天井見ている。

天井が、湾曲してギーギー鳴る。

雨雫が落ちる。

壁タイルが、剥がれている。

23 居間 深夜

竜子「乾杯。お帰りなさい。ごめんね」

清「乾杯。ただいま」

スナック店からもらった赤ワインを飲み干す。

清「貴志は?」

竜子「仕事。食べて。疲れたやろ」

清「話あるねん」

竜子「わたしもあるねん。先言わせてや」

清「なに」

竜子、2000万円の札束をお膳に置く。

清、指差しながら、

「俺の貯金やないか」

竜子「なに言うてんねん」

清「また、隠してたな」

竜子「90のおばあさんやで」

清「93歳」

竜子「数えな」

清と竜子、札束を数え直す。

清「なにするねん」

清、札束開く。

竜子「家、立て直すんや」

清「ここ?」

竜子「ボロボロやろ」

清「50年」

竜子「よう住んだ」

清「足りるか」

竜子「明日来る」

清「だれ」

竜子「建設会社」

清「えっ!何時?」

竜子「1時」

清「タクシーの面接や」

竜子「そうか」

清「2000万円あった」

清、札束を輪ゴムで巻く。

竜子「頼むで」

清「なんでやねん。いつでも俺や」

竜子「男やろ。わたしが、男やったら総理大臣なってたで」

清「眠い」

竜子「人間、よく寝なあかん。2階上がって寝」

清「天井抜けへんか」

清、天井見上げる。

竜子「まだ、大丈夫や」

清「築50年」

竜子「おやすみ」

24 清の夢 朝 晴れ

新築になった家。

清、竜子、貴志が、玄関前に立って家を見上げる。

三人の後ろには、スナック女たちや小学生たち、隣人おばちゃんおっちゃんたちが、見ている。

貴志が、リモコンキーで、玄関施錠解除する。

全員、歓声とともに新築家に入って行く。

貴志が、案内する。

貴志「東南に金魚プクプク。後ろに小さな窓を付けました。玄関に鏡付いてます。(靴を脱ぎながら)こちら床から段差21センチになってます。低めです。手摺り付いてます。

(八畳間へ扉ガラス)ギラギラのチェッカーガラスになってます。敷地11坪しかないのに、八畳和室があります。西壁には窓なしです。こちら、西側の出っ張り部屋です。冷蔵庫、ガスコンロ、流し台にシャワー水栓。3階建て二世帯住宅です。(階段の段差)こちらも高さ21センチ3階まで統一です。手摺りを使わなくても登りやすいです。二階ハイドアです。システムキッチンです。80センチの低めにしています。頭ぶつけるのでクッションを両面テープで付けてます。

部屋からトイレが見えないようにオプションで壁付けてます。

(3階ベランダのシャッター上に開ける)ゲリラ豪雨対策として、サッシの高さを普通20センチを30センチにしています」

子どもたち、ベランダに出て、青空景色見る。

子どもたち「すごい」

25 二階の清の部屋 深夜

暗闇。

眠っている清が、目を覚ます。

竜子の泣き声が、聞こえる。

26 階段

清が、竜子の泣き声を聞きながら、

階段降りる。

27 一階の居間 深夜

暗闇の中、竜子が、寝ながら声を出して泣いている。

玄関を開けて貴志が、入って来る。

貴志が、清を見て言う。

貴志「ただいま。お帰り。ええ歳こいて親泣かすなよ」

28 台所 深夜

貴志が、カップ麺を食べている。

テーブル上の3階建て建築設計図面。

猫の泣き声。

1階2階3階の設計図面は、3階とも長方形に書かれている。

清が、赤ペンで、建築外壁に沿ってなぞる。

1階図の西側に、出っ張り部屋長方形を書き加える。

2階図の西側にも、出っ張り部屋長方形を書き加える。

3階図の西側にも、出っ張り部屋長方形「ベランダ」と書く。

貴志「建設会社行ったんや。2000万円では無理です。3階建ては。解体もあるし。

最低でも2500万円2600万円は、かかるって」

清「明日、来るらしいなあ」

貴志「会って話聞いてみ」

清、図面に書いた赤枠を、再度なぞる。

清「問題は、ここやねん。この出っ張り部屋。

これが、大事や」

貴志「だれが言うた?」

清「常識やで。西に出っ張り部屋。お金に困らない」

貴志「世界中に言え」

清、空になった2L炭酸ジュースペットボトルを持ち上げる。

清「カラッポ」

貴志「ダメおやじ」

清「カラッポ」

貴志「ダメおやじ」

清「カラッポ」

貴志「ダメおやじ」

竜子、登場。

竜子「お帰り」

清「貴志の通帳預かってるやろ」

竜子「90過ぎて、耳聞こえない」

清「 コンビニ5年で、月5万、年60万、300万円は、通帳入ってる。どこ?」

竜子「90過ぎて、あちこち痛い、歩かれへん」

清「知ってるのは、ばあちゃんだけ、他いない」

竜子「耳聞こえない」

清「通帳?」

突然、竜子、真顔になって怒鳴り散らす。

竜子「知らん言うたら知らん言うてるやろ」

清「えっ。なんだって?」

竜子「知らん。耳聞こへんねん。歳や。よううう生きてきた」

貴志、スマホ見ながら、パン食べている。

清、呆れ顔。

白猫が、シッポ立てて歩く。

猫の泣き声「ニャーン」

清「あれっ?」

清、テーブルの上下、探す。

清「チョコレート知らん?」

貴志「ばあちゃん」

29 居間 深夜

竜子が、布団で寝ている。

引き戸が、少し開く。

清「一人で食べて美味しいなあ」

29 居間 深夜

竜子が、布団で寝ている。

引き戸が、少し開く。

清「一人で食べて美味しいなあ」

竜子、笑っている。

30 メタバース内 竜子の夢

2階建て新築上棟式

A棟。

外枠柱が、立つ。屋根が取り付けられる。外壁が貼られる。

次に、B棟。C棟。D棟。E棟。F棟。G棟。H棟。I棟と、建てられていく。

高層マンションビル。

鉄骨が組み建てられ、

次々と、高層マンションビルが、建ち並ぶ。

高層マンション最上階。

寝室ベットの竜子が、目を覚ます。

スカイツリー

太陽に向かって、タイツ姿でエアロビクスしている。

オートバイ爆音。

(WIPE)

31 大時計台 晴れ

クレジット「第一回目」

ハーレーダビットソン爆音。

時計の針が、12時50分を指している。

大滝妙子N「解体入れて3階建て安くて2600万円。今回、2000万円元金だけ。

意地でも息子に色仕掛けローン組ませてやる」

32 大通リA 晴れ

ハーレーダビットソン運転の大滝妙子が、爆音なびかせる。

妙子N「若いからローン1000万円にしよう。ノルマ達成」

33 大通りB 晴れ

ハーレーダビットソンが、走る。

妙子N「あの交差点に、新しいカフェ」

34 大通りC 晴れ

ハーレーダビットソンが、走る。

妙子N「あそこは、ラーメン美味しい」

35 大通りD 晴れ

ハーレーダビットソンが、走る。

妙子N「ステーキ、ジュージュージューシー」

36 海岸沿い 晴れ

ハーレーダビットソンが、走る。

妙子N「海は広いな大きいな」

37 空港沿い 晴れ

飛行機見ながら、ハーレーダビットソンが、走る。

妙子N「来年は、ニューヨーク」

38 大橋 晴れ

ハーレーダビットソンが、橋上走る。

妙子N「鯉釣って、みんな恋してる」

39 下町狭小道路 晴れ

ハーレーダビットソン、四角曲がる。

妙子N「ここ、ここ」

40 路地道

ハーレーダビットソン、突き抜ける。

41 竜子の家の前 晴れ

爆音の妙子来る。

妙子N「濡れ濡れにしてねじ伏せて印鑑印鑑印鑑押せ」

家の前で停まる。

前のスナックビルのビル2階の窓、一瞬開く。

スナック女A「なに?」

窓閉まる。

妙子、ハーレーダビットソンから派手に降りる。

黒ヘルメットを脱ぐと緑色のロングヘアをなびかせる。

眼鏡越しに竜子の家を睨む。

妙子「(指で呼ぶ)いらっしゃい。2階建てでも3階建てでも建ててあげるわよ。

建てるなら若いうち」

鞭でドア叩く。

「ブーブーブー」

ハーレーダビットソンに乗っている小学生が、ブザー鳴らす。

妙子「ダメダメダメ。なにしている」

妙子、小学生たちを、追い払う。

42 竜子の家1階

居間の隣部屋

妙子と清が、お膳を挟んで向き合い座っている。

妙子N「じじい、しゃべれ。なに眠ってる。こっち見ろ」

清N「目に毒だなあ。若い女は、恐ろしい。目が、開けられない」

妙子「玄関どうされますか?」

妙子N「こっち見ろ」

清 N「こんな近くで、女性を見るのは、何年ぶりだろう。

娘以来。座頭市眠狂四郎円月殺法。名セリフ。おまえの操が、ほしい。

ぶん殴られるぞ」

妙子N「貴志、出せ」

隣の居間

いつもの通り、竜子が、昼寝している。

薄目開く。

二人の話を聞いている。

妙子「図面、見られてます?」

妙子N「目を開けろ。どこ見ているんだ。演技して」

清、目を閉じたまま、うなずく。

清N「開けろと言われても、今じゃ遅すぎた。

見たところで、分かるわけないだろう。

金の成る家を作ってくれ。

西側、出っ張り部屋。

あんた、プロの建築家で、知らないだろう。

西側に、出っ張った部屋を作ると金に困らない。

お金に不自由しない。

本当か?知らない。今回、実験してみよう」

隣の居間

竜子が、寝ながら天井見ている。

妙子「3階建てですよね?」

妙子N「こちらが、設定してくれと待っている」

清N「この図面じゃ出っ張り部屋がない。変更してもらわなくちゃ」

妙子N「営業の基本、お客様のお望み以上のサービスの提供。それが、値段高くても、

相談判断決断は、お客様自由」

清、図面見る。

清N「神様、やっと見えました。この図面は、出っ張り部屋がありません。出っ張り部屋を作ります」

隣の居間。

竜子、座り直して、ウインクする。

清、図面の下段に、書かれてある金額を見る。

「2400万円」

清N「払えない」

クレジット「第二回目」

お膳に向かっている二人。居間に、竜子。いつもの通り。

妙子、眼鏡に派手な服。

目を閉じている清。

清N「今日こそは、図面違うと言わなくちゃ」

妙子「ここに印鑑付いてください」

居間で、竜子が、寝ている。

清N「目が開けられない。若い女

妙子N「前金100万円。印鑑押せ。眠狂四郎

清N「印鑑前に出っ張り部屋」

竜子、起きている。

妙子「朱肉」

妙子、鞄の中探す。

清、頑張って、薄ら左目を開く。

妙子 「朱肉」

妙子、鞄の中から、朱肉取り出す。

清、薄ら右目を開く。

妙子「朱肉」

妙子、朱肉を、お膳の上に置く。

清、頑張って、両目開く。

妙子「こちらです」

妙子N「前金。押せ」

妙子、 図面の名前と印鑑の欄を、指差す。

派手なマニュキュア。

清が、図面一階に、赤マジックで、西側出っ張り部屋を、

書き加える。

妙子N「何するの?」

清「ここに、部屋を足してほしんです」

妙子と清が、初めて、目と目がぶつかり合う。

居間にいる竜子、一瞬、振り返る。

43 メタバース 浴室脱衣場

清と妙子が、目を合わせて抱き合っている。

見つめ合う二人。

今にも、唇と唇が、触れ合まうまで、近づく。

浴室の扉が、開き、頭にタオル、胸にバスタオル巻いた竜子が、出て来る。

竜子「いいお湯でした。ありがとう」

清が、抱いている妙子を見ると、

妙子が、人魚になっている。

妙子人魚「これからが、勝負よ」

ドボーン。

水中を泳ぐ妙子人魚。

(WIPE)

44 竜子の家 1階 台所 朝 雨

竜子が、一人、カップヌードルを食べている。

竜子しかいない。

竜子、テーブルや壁のペンキ跡を見ながら、食べる。

竜子が、コップに茶瓶のお茶を注ぐ。

竜子、お茶飲む。

45 竜子の家 1階 雨

誰もいない居間。

46 竜子の家1階 台所 雨

竜子が、お茶を飲んでいる。

47 竜子の家 2階 雨

誰もいない2階の部屋。

48 竜子の家 1階 台所 雨

竜子が、お茶を飲んでいる。

49 竜子の家 2階 雨

2階から見る前のスナック。

雨が、降っている。

50 竜子の家 1階居間 雨

竜子が、一人、テレビ見ている。

51 竜子の家 2階ベランダ 雨

ベランダの屋根の雨漏り雫。

雨の瓦屋根。

52 竜子の家 1階 居間 雨

竜子、テレビ付けたまま眠っている。

53 竜子の家 1階

クレジット「第三回目」

居間の隣部屋。

お膳を挟んで、妙子と清が、向き合って座っている。

妙子の髪型が、尖っている。服装も派手に変わっている。

清は、いつもの服装。

妙子と清の目が、ぶつかり合う。

妙子「台所を広くするということですね」

妙子、付け加えて変更した出っ張り部屋の図面を指し示す。

清「そうです」

妙子「総面積増加で、坪単価50万円として、150万増えます」

清「玄関も大きく」

妙子「玄関も大きくということで、総面積増えています。玄関なくしますか?玄関付けますか?

玄関必要でしょう」

清「ベランダは?」

妙子「なしです。欧米では、室内干しです」

清「ベランダ必要です。室内干すクリーンも必要です」

妙子「なんでもありなんですね」

清「なんでもありです」

妙子「さっそく前金振込んでいただきありがとうございます。

変更契約書です。 こちらにも訂正印お願いします」

竜子が、お茶を持って来る。

竜子「どうぞ」

妙子「いい家できますからね」

竜子「よろしくお願いします」

竜子、頭下げる。

竜子、隣の居間のいつものテレビ前にすわって、

目を瞑っている。

竜子、目を開ける。

清「ばあちゃん、帰った」

竜子、玄関に向かって、

塩巻く。

竜子「塩巻き。蹴ったっクソ悪い」

清「何?」

竜子「あんな詐欺師、もう家の中に、入れたらあかん」

清「えっ?」

竜子「家も何もかも、根こそぎ持って行かれるで」

清「前金収めた」

竜子「いくら?」

清「100万円」

竜子「返してもらい」

清「このボロボロ50年でええんか?」

竜子「あの女は、おまえの何や?」

清「建築屋」

竜子「返してもらいな」

清「返してくれるか」

竜子「私言うわ」

清「頼む」

竜子「やめとけ」

清「50年や進めな。100辺言ってもわからんな」

竜子「わからん」

清「六畳間が八畳間になるで」

竜子「うるせえ。バカ野郎」

54 メタバース

六畳間が、八畳間に変わる。

竜子、後ずさりする。

竜子「トイレどこ?」

竜子、首振って探す。

竜子、廊下に消える。

55 竜子の家 1階居間 深夜

暗闇。

竜子一人寝ている。目が開く。

起き上がり、トイレに行く。

56 竜子の家1階トイレ前 深夜

竜子、トイレ電球スイッチ押す

電球光る。

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