17 マドンナ看護師に勝つ
谷川菊江さん。72歳。女性。若い時に、バス降りる際転倒。首骨折こちらで長年入院生活。38歳の一人息子と暮らしています。
現在、通院中。
通院には、タクシー利用。
谷川菊江さん曰く、
「車の揺れで、首の骨、はずれますねん」
沈黙。
返す言葉がありません。
逆らえません。
国道沿いラブホテル横通ると、楽しそうに話しかけてきます。
「いい天気やねえ」
私の性格でしょうか?指名受けて再度ご乗車。
「どちらまででしょうか?」
「何言ってるん?病院しかないやん」
クスクス笑い。
「おかしな人。病院以外どこ行くんやろ」
よほど楽しかったのでしょう。
何度となくご乗車。
病院での噂も入ってきます。
谷川菊江さん、病院で大声怒鳴ります。
「こんな体にしたのは、誰や。出て来い」
入院もされるみたいです。
今回、私の入院で、谷川菊江さんと、よく似た名前の谷沢静雅さん、24歳女性看護師さんが、担当されました。
第一、最初は気付きませんでした。
こちらも、生か死かで入院してますので、検査安静手術成功退院願うばかりです。
谷沢さんが、お美しい方だとも思わず気にもとめず、安眠休養していました。
第二、担当看護師さんの名前を、受付室名札を見て、驚きました。
「谷沢静雅」
谷川菊江さんと、同じだ。
「谷」
それに、
「菊と雅」
雅には、牙が入っています。
「菊と刀」
じゃなくて、
「菊と牙」
だ。
これは、逆らえない。
つるの恩返しが四谷怪談のお岩さんに化けて出てきたのでしょうか。
第三、谷沢静雅看護師、しゃべらない。
おかしい。
しゃべらない看護師さん。
私は、検査セーフ手術成功無事退院。
サヨナラだけが人生だと思いきや、違いました。
見られています。
谷沢静雅さんに。
スーパーマーケットでバッタリ。
コンビニでバッタリ。
通りすがりでバッタリ。
タクシー運転中もバッタリ。
退院後、再検査通院でもバッタリ。
私の行動は、谷川菊江さんの家来、谷沢静雅さんの手の中です。
ロリータ症候群かもしれません。