16 病院に勝つ Part2

16  病院に勝つ Part2

   看護婦さん、申し訳ございません。
   先生に、ヤブ医者と言ってしまいました。
マドンナ看護婦「早く、退院してよくなってください」

   第一、全然、よくなりません。直腸ポリープ手術しまして、2週間入院しました。
   タクシー同僚たちは、ポリープと言えば、
「俺は、のどぼとけ」
「俺は、食道」
「俺は、胃」
   全員、ポリープだらけです。
   お客様から、
「弁護士やってるんだけれど、来週、心臓カテーテル手術受けるんだ」
「そうですか?私狭心症で、右ブロックです」
「運転大丈夫?」
「いやあ、もうダメです」
「他の車に乗り移ろうかなあ」
「もうすぐですから。大丈夫です」
「本当?それじゃいいけれど」
   人のことより自分の体を、心配すればいいのに。
「来週ですか?」
「連れの医者で、任せろって」
「しない方がいいですよ」
「だから、したくないんだよ」
「オリーブオイルいいんじゃないんですか?」
「お茶に入れて飲んでるの?」
「はい」
「本当。俺も飲もうかな」
  みんな、長生きしましょう。

   第二、直腸癌では、ございませんでした。
   助かりです。
   入院中、妹の朴香織が、見舞いに来てくれました。
   今から十年前の事ですから、妹も46歳。若い。京都一流料亭仲居から番頭さんです。
   大出世です。
   先生同窓会聞けば、驚きの声。
   その妹朴香織が、見舞いに来て一言、
「おもしろい。ハハハハハ」
  
  何か、いいことあったのかなあ。
   こちら、癌じゃないんだけれど。

   第三、
   おばあさんも楽しそうだった。
   珍しい場所が、良かったのでしょう。
   同室のオッちゃんに、ニコニコ挨拶して、退室する時に、満面笑顔で振り返り、右手げんこつを高々上げて、こちらに向け振り下ろして、去っていきました。
   私の丸坊主頭を、げんこつで殴るしぐさなのでしょうか?
   おばあさんのご愛嬌。
   顔右半分。
   癌でなかったことを、喜んでいる笑顔。
   顔左半分。
   知らない場所を探検する喜び。例えば、お化け屋敷。

   家でテレビごゆっくりどうぞ。