69 ホテル記者会見会場
白馬熊男社長と辰巳大蛇社長が、握手する。
記者の声A「奇々怪々。魑魅魍魎の伏魔殿。おかしな話だ。東京赤字タクシーと大阪赤字タクシーが合併協力。白馬の騎士の白馬タクシーが、大暴走。走る場所を間違えて高速道路走り出した。倒産への第4コーナーへ真っしぐら。リストラしかないのか?」
記者の声B「倒産するわけないだろう。私腹を肥やして、うまくやってるんだよ」
記者の声C「働いている者は、生殺しだ」
記者の声D「働けど働けど良くならない、おいらの生活」
壇上で、白馬熊男と辰巳大蛇が、シャンパンを抜いている。
シャンパン、ポン。
シャンパン、ポン。
お互い開けたシャンパンが、背広に掛かり、頭からシャンパンの注ぎ合いになる。
辰巳大蛇、怒りと笑顔混じる。
白馬熊男、大笑い。
記者の声E「何やってるんだ?」
ホテル職員や記者たちが、白馬熊男と辰巳大蛇の喧嘩ヘッドロックを解き放す。
記者の声F「熊と蛇の戦い。
見ものだね」
70 タクシー会社玄関 夕陽
会社看板変更。
辰巳タクシー株式会社から白馬辰巳タクシー株式会社に。
タクシー運転手たち、見ている。
71 朴一根自宅 朝
出勤。
朴「会社、クビ」
首に手当てる。
徐山子「出勤?」
朴「20年以上働いている。働き過ぎ」
山九「辞めやて」
おばあさんに言う。
徐山子「いってらっしゃい」
朴「辞めさしてもらいます」
山九「バカ親父」
朴「働き過ぎ」
山九「他のタクシー会社は?」
朴「年金。どこも雇ってくれません」
徐山子「貰えるわけない」
徐山子、笑いながら、足踏み体操する。
山九「どうするの?」
朴「休憩。再婚。世の中、男と女やで」
山九「働かな。あるか」
朴「女。女。女やで。行ってきます」
山九「いってらっしゃい」
徐山子、笑いながら、足踏み体操している。