1-5 展示場も支店もいっしょ

1-5 展示場も支店もいっしょ

「俺の金じゃない」

それは、言ってないけれど、

おばあさんのヘソクリだ。

頭にきた。

わざわざ、裾綻びのスーツにネクタイで

着ているのに、

何が、あなたの金じゃないだ。

しかし、担当者Aは、プロだ。

展示場の建築会社でも、

あんたの金じゃない

みんな思っています。

気付いていないのは、あなただけです。

正直に言ってくれたこの担当者Aは、

やる気があるみたいです。

しかし、頭くる。

「あんたの金じゃない」

見破られました。

トラック運転手5年

タクシー運転手27年

「ありがとうございます。ドア閉めてよろしいですか?

どちらまででしょうか?」

新大阪駅

「かしこまりました。新御堂筋で行かさせてもらいます」

お客様の「新大阪駅」のイントネーションと声の大きさ高さから、

その方の懐具合を想像します。

お子さん何人?

奥様美人?

持ち家?

職業は何?

社長?

60歳過ぎて職業柄想像ばかりしていると、

近場のお客様と話すと、

とぼけたことを言ってしまいます。

「道知らない」

「駅前ホテル?」

「住所ご存知ですか?」

年取ると誰とも話ししたくありません。

自分自身でふざけたこと話しかけるんです。

おじさんつっこみ

逆に、お客様から、

「子ども3人」

「お金に困っている」

「幼稚園いっしょだった」

「小学校の田中先生、怖かったなあ。お兄ちゃん」

「中学校の先生、クイズ番組出てました」

タクシーの行灯に、

私の小学校中学校が、書いてあるのでしょうか?

不思議ですが、言い当ててこられます。

何だろう?

相手はプロだ。

こちらもプロだ。

黙って黙って黙ってクレイマーおじさん。

ここは、抑えて抑えて抑えてください。

蛇ににらまれたカエル

アマゾン川のピラニ

虎に睨まれた羊

もう逃げられない。

どこにも逃げられない。

呪縛

骨の髄まで、食べられます。

この物語は、

金のない者が、建築会社に骨の 髄まで絞り吸い取られる話です。

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