朴、名刺見る。
朴「谷川菊江、谷川静雅。
菊と牙」
110 谷川整骨医院医務室 夜
暗い。
谷川菊江老女性医師(76)と谷川静雅看護師(45)が、朴一根に質問する。
谷川菊江医師と谷川静雅看護師二人とも、眼鏡している。
谷川菊江医師「どうしてここに来ましたか?」
朴一根「会社から紹介されました」
谷川菊江医師「それだけで?」
朴一根「 方角からいい方角なんで」
谷川菊江医師「占いで来たわけ」
眼鏡上げる。
朴の右手小指を、ひねり上げる。
朴「痛い」
谷川菊江医師「私ね、バスから降りる時、転けて跳ねられて、首の骨を骨折したの」
朴「首ですか?」
谷川菊江医師「そう。今も首が痛いの。ここ」
くるりと、後ろ背中向いて、後ろ首を出す。
谷川菊江医師「ここ。ちょっと触って」
朴、谷川菊江のうなじを撫でる。
谷川菊江医師「そこそこ。もうちょっと下」
朴、谷川菊江の肩を揉む。
谷川菊江医師「そこそこ」
谷川静雅看護師が、ずっと見ている。
朴、目を瞑って、谷川菊江の肩から腕を揉む。
谷川菊江医師「一人息子いるの。建築の勉強しているの」
朴「お医者さんに成ればいいのに」
谷川菊江医師「医者は嫌だって」
猫「二ヤーン」
目覚めた猫が、歩く。
谷川菊江医師「息子。服脱いで」
谷川菊江医師、服整える。猫を抱いて、廊下に出る。
111 谷川整骨医院廊下
谷川菊江医師、猫に餌やる。
谷川菊江医師、体操しながら、廊下を行ったり来たりする。
112 医務室
医務室から、朴が、谷川菊江医師の体操歩きを見る。
後ろ向きになった所を、朴が、医務室から出て玄関へ行く。
113 谷川整骨医院玄関
朴、急いで靴を履いて、玄関ドアノブに手を置く。
後ろから、谷川菊江医師が、朴の背中に抱きついている。
谷川菊江医師「どこ行くの?」
朴、天井見る。
天井に七福神の鬼絵が、飾ってある。
谷川菊江医師「放さない」
114 医務室
谷川菊江医師「お帰りなさい。脱いで」
朴「小指です」
谷川菊江医師「いいから」
谷川静雅看護師が、廊下見ながら、ドア閉める。
115 谷川整骨医院廊下
電灯揺れる。
カメラ下がって行く。