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清「私、仕事中だと言いましたよね」

理江子「ここまで来たらおしまい」

清「すごいダイヤモンドの指輪ですね」

ダイヤモンドの陳列棚。

理江子「いっぱいよ。あげるわよ」

清「このパターンやばいんです」

理江子、目を閉じる。

清、首を横に振る。

浴室から、バスタオル姿の竜子が、出てくる。

清「ほら、出て来た」

竜子「いい湯でした。ありがとう」

94 銀座4丁目交差点 晴れ

タクシー路上駐車。

誰も乗っていない。

95 田嶋建築事務所内

部屋の中央に、大きなダイヤモンドが、置いてある。

理江子「働けばいいじゃない?」

清「これ、偽物ですか?」

理江子「よく気付いたわね。本物は、どちらでしょう?」

清「金庫の中」

清、シャンデリアの輝きを見る。

理江子「男は、働く者よ」

清「結婚詐欺が、本職なんです。結婚してください」

理江子「何言ってるの?」

清「新築にして、騙します」

理江子「誰を?こことここ、お母さんの署名印鑑もね」

清「母、連れてきていいですか?」

理江子「いいわよ。ここで、印鑑ね」

清「逆に騙されました」

理江子「いつも騙されてるんじゃない?」

清「その通りです」

理江子「世の中、甘くないわよ」

清、目を閉じる。

理江子「何してるの?」

清、目を閉じたまま、立ち上がり、部屋を歩く。

理江子、部屋の隅に隠れる。

清、目を閉じたまま、部屋一周する。

理江子、清に捕まりそうになるが、逃げる。

清、目を閉じたまま、追いかける。

理江子、四つん這いになって逃げる。

床に寝そべって、清、理江子を捕まえる。

見つめ合う二人。

突然、部屋の扉が開き、

建築現場のヘルメットを被った妙子が、入って来る。

妙子「社長、練馬の物件、完成しました」

理江子、立ち上がり、設計図受け取る。

理江子「仕事には、色気も大事よ」

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