シナリオ PART28

131 中央卸売市場 朝

マリア・ブロンズが、ねじり鉢巻き姿で、魚を売っている。

マリア「いらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい。いらっしゃい」

132 神戸六甲アイランド

夕陽。

海。

高層マンション。

133 マリア・ブロンズ自宅

夕陽。

マリアと夫田中肇と娘香萌が、夕食を食べている。

マリア「いただきます」

香萌「いただきます」

田中肇「いただきます」

3人 、食べる。楽しそう。美味しそう。家族団欒。

134 神戸中華街のレストラン

食べられない。

テーブルには、食事一杯。料理一杯。デザート一杯。

山九と金順子の結婚式打ち合わせ。

朴一根、朴山九と、金順子、父金和男、母李鳳淑。

朴一根「結婚式は、西宮神社でお願いしたいんですが、

その前に、こちら、山九の履歴書です。順子さんの履歴書は、持って来られましたでしょうか?」

金順子「はい、こちら」

母李鳳淑「ちょっと。ちょっと待ってください。二人が、好きになって結婚式を挙げるんですから、履歴書持って来なさいは、おかしいでしょう」

朴一根「その通りです。形式です。深い意味ないです。

ただ、知り合いの女性で、お見合いして、結婚しました。

旦那さん、働きません。借金だらけで、金貸してくれ。

逃げたら殺す。言われて、今、男の面倒見て働いています。そうなったらどうします」

母李鳳淑「そうなったらどうしますって、そっくりお言葉お返しします。何をおっしゃってるんですか?」

父金和男「ちょっと、待って」

朴一根「私らは、タクシー運転手。息子は、コンビニ店員。労働者なんです。労働者は、履歴書を書かなくちゃいけないんです。商売人じゃないんです」

母李鳳淑「承知の助です。もちろん。当たり前。決まりきったことでしょう。あなた、お父さんでしょう。父親なら、父親らしくしなさい」

朴一根「嫁さん、逃げました。この席で、言う必要ないでしょう」

母李鳳淑「何という親や」

李鳳淑、テーブル蹴る。

135 マリア・ブロンズのレストラン

マリア・ブロンズが、ワインを持って来る。

ワインを、空グラスの山に注いで行く。

朴一根、朴山九と金順子、金和男、李鳳淑が、ワイングラスを持って、乾杯する。