8-2
清、車を出す。
清「知らん」
理江子「何言ってるの。おかしいわね。よく聞いてね」
理江子、ドレミの歌を歌い出す。
理江子「ドは、ドーナツのド。
レは、レモンのレ。
ミは、みんなのミ。
ファは、ファイトのファ。
ソは、青い空。
ラは、ラッパのラ。
シは、しあわせよ。
さあ、歌いましょう」
理江子、指を鳴らす。パチン。
理江子「あなた、どうして家建てないの?」
清「知らん。あのですね。女性のお客様で」
理江子「何?」
清「乗って来られまして、目の前のホテル行ってくれ、
見えているんです。1分。黙ってたんです。そしたら、
何黙っているのよ。話しなさいよ。根性悪いわね。もう嫌。
そう言われたんです。
また、女性のお客様、乗って来られたんです。
また、目の前のホテル。歩いた方が速い。
それで、黙っていたら言われたんで、話さなくちゃ、
住所お願いします。
何が住所?あのホテルじゃないの。見えているでしょ。
チェーン店なんで。
何言ってるのよ。いいいいい。
されたんです。
それで、また、女性のお客様、乗って来られたんです。
そしたら、また、目の前のホテルなんです。
黙っても話してもダメなので、
自然と条件反射みたいに、
知らんと言ってしまったんです。
そしたらね。そのお客様、スマートフォンで、地図を出してくれて、
ここ行ってと言われたんです。
目の前見えているんですよ。親切に教えてくれはったんです。
すごいでしょ。
ところで、先ほどの質問は、何でしたか?」
理江子「どうして家建てないの?」
清「知らん」
理江子「何言ってる?おかしいわね。もう一度、聞いてね。
ドは、ドーナツのド」
清「いいです。わかりましたからいいです」
理江子「何わかったの?」
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